アヤ付け
アングラに限らず、ギャンブルの世界では割と良く聞く表現に
「アヤが付く」
「アヤを付ける」
というものがある。
勝負に本来関係しない有形無形のものを持ち込んで
勝敗に何らかの影響を及ぼそうとする行為のことだ。
麻雀で言えば、必要の無い鳴きなどを入れたりする行為もあるし
単なる縁起担ぎや因縁を付けているようなものも含まれる。
「勝負師の肩に触れてはならない」
なんてのは完全にアヤの話だ。
人気麻雀漫画の「天牌」なんかは割とそういう描写が多いように思う。
最近読んでないけど。大阪編つまんね><
アングラカジノの世界では、そのアヤ付けはもっと露骨だった。
バカラにおいては、ゲーム進行の過程に
客がカードを自分でめくる行程があるのだけれど
そのカードを客の手元に持っていく時に
客の張っているベットにカードが触れたりすると
「このやろう、人の駒に札ぶつけてアヤつけてんのか!」
なんて反応になったりする。
まぁ基本的は放置するしかないし
それで怒り出したら謝り倒すしかないのだけれど
僕がディーラーだった当時は、もう少しえげつないものもあった。
ギャンブルにおいて、自分の張ったベットというものは
当たれば配当が付くし負ければ無くなる。
ところが、その当時は
「総付け」
というものがあった。
ディーラーがミスをすると、そこで勝負は関係なくなり、
ベットしている全員が勝ったものとして配当を受けられるというものだ。
条件のミスやベットオーナーのミスなどをした瞬間
どちら側にベットしていたとしても、客全員が勝者になるわけだ。
本来負けて没収されるべきベットに当たりの配当をつけるわけだから
店側の被害は甚大だし、客にとっては旨い話になる。
だから、博打慣れした客の中には
あの手この手でディーラーを動揺させてミスをさせようとする者も多かった。
アヤを付けまくりなわけだ。
ベルが鳴ってからベットを移動させたり両替を頼んだりして
ディーラーのルーティンを乱したり
(ディーラーの作業は基本的にルーティンの連続だから、
それが乱れるとミスが起きやすい)
あるいは恫喝してみたり、からかってみたり。
勝敗が決するカードを引いたにも関わらず
わざとそのカードを伏せて出して
「決まらず!もう一枚!!」
などと大声を出したりするケースもある。
ディーラーが早合点してもう一枚カードを出した瞬間
「あれ、決まりだったか。はいチョンボ!総付けな」
などという結末になるわけだ。
店側にとってはあまりに過酷になるので
いつしかハウスルールとして「総付けは一切しない」と謳うようになり
次第にその風習は廃れていったのだけれど
おかげでずいぶんメンタルを鍛えられたような気はする。
ところで。
7月15日発売の「近代麻雀」をご覧になっただろうか。
片山まさゆき先生の「オバカミーコ」において、こんなアヤ付けがある。
ツモるべき山を間違えてツモってしまったネット出身プロに対して
先輩プロが動揺を誘おうとわざとらしく裁定委員を呼ぶ。
ところがそのネット出身プロはこともなげに
「ルール表ではそのまま続行になってます。読んでないんですか?」
などと切り返し、先輩プロは逆に熱くさせられてしまうわけだ。
いくらなんでもアヤの付け方がしょぼ過ぎるんじゃないかと思うし
あの程度の切り返しで熱くさせられるようじゃ、どうしようもないんじゃないだろうか。
やっぱり、作品としては
「ルール表読んでないんですか?」
などと挑発されたら
「あら、あなたの読んだルール表には
どこからツモるかは書いてなかったのかしら?」
くらいのことを切り返してバチバチと火花を散らしてもらいたいと思うんだよね。
で、そんなことを思いながら読んでいて
こういうことにいちいち引っ掛るのは
やっぱり自分がそういう世界にいたからなんだろうなと
ちょっとしみじみしてしまった。
つっても、しみじみ振り返るような世界じゃないんだけどね><
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