知り合い(というほど親しくさせていただいてはいないのだけれど)が
麻雀をやっている上での壁というか悩みについて書いていた。
曰く
「集中しているのに、大事なことを見落としてしまう自分が><」
ということらしい。
手抜きをしているわけでもなく
一生懸命集中して打っているのに
場に出現した大事な情報を見落としてしまうのだろう。
こういうのは、性格というかその人の傾向なんだろうけど
その文章にいくつかコメントも入っていて
同じようなことを感じている人もいるみたいだった。
でも、僕はあまり心の優しい人間ではないので
「ああ、それは大変ですね、頑張ってください」
とか当たり障りのないことは書けない。
かといって、実効性のあるアドバイスもできない。
ただ、集中しているはずなのに、
いや、むしろ集中していればいるほど
そういった精神的なエアポケットに入るということについては
少しばかり思うところもあるので
それについてのみ書いてみようと思う。
エアポケット、というのはどんな世界にもある。
真剣であっても当然起こり得る。
だからこそ、指差し確認という行為があるのだ。
生命や安全を扱う現場であれば
どこでもやると言っていいかもしれない。
「前方よし、後方よし、発車オーライ」
と車掌が言うのだってそうだ。
言葉にすることで、人間は確実にそれを意識する。
後方を確認していないのに
「後方よし」
と口にするのには、それ相応の抵抗を感じるのだ。
実は、カジノでもそういうことはある。
命の次に大事なお金を扱うわけだから
やはりそういうのはついて回る。
バカラというゲームには
次のカードを引くための「条件」というものがある。
1~10のカードのうち何を引くかで
次に引くか引かないか実に細かく規定されている。
その条件自体は、慣れたディーラーであれば
もちろん完璧に記憶している。
毎日何ゲームもディールするのだ。
間違うはずがない。
でも、彼らは毎回カードが出るたびに
「プレイヤー5、バンカー6、6の条件でカード出ます
6,7以外のカードは決まりです」
といったコールをする。
それはお客に対する実況と言う面ももちろんある。
ゲームの進行を教えることで客にゲームに没頭させるのも
ギャンブルでは大事なことだ。
でも、単に実況するだけならもっと簡素でもいいわけで
そこにはやはり「口頭確認」という側面があるのだ。
何度もやっていればいるほど
集中して仕事をしていればいるほど
エアポケットというものは発生する。
たとえば「3の条件」というものは
プレイヤーの3枚目が8だった場合には
バンカーはもうカードを引くことはないのだけれど
客が勘違いをしていて、8を引いたのに
「ワンモアバンカー!」
などとカードを要求することがある。
滅多にあることではないのだけれど
場の雰囲気や心理状態などが絡み合った時に
新人でもない中堅クラスのディーラーでさえ、
つられてカードを出してしまったりするのだ。
ただでさえ、カジノのテーブルの上というのは
人をある種のトランス状態に陥れる催眠効果がある。
テーブルの上を煌々とスポットライトが照らし
人々はゲーム進行に関すること以外の言葉を発しない。
全員が同じところを注視して
起こった出来事に同じような反応を示す。
勘違いをした人間に引きずられる要因は揃っているわけだ。
だから、本当に熟練したディーラーであれば
絶対にミスの許されない場面になればなるほど
必ず条件を復唱する。
「プレイヤーは1、バンカーは3、ワンモアプレイヤーにカード
3の条件、8のカードは決まりです」
一度に数百万のベットが賭けられるような場面になれば
うっかりだのエアポケットだの言い訳は許されないからだ。
総付け、という習慣が日本の賭場にはある。いや、あった。
博打の場で「出方=ディーラー」や「合力=サブディーラー」が
ミスをした場合、客は張っている駒の当たり外れに関わらず
当たったものとして配当を受けられる制度だ。
(当然ミスを犯した人間には過酷な制裁がある)
一時期、日本のアングラカジノでも、その習慣があった。
あまりに店にとって過酷なので、いつしかそれを廃止するようになったけれど
僕がその世界に入った当時は、まだ残存していた。
考えてみればいい。
プレーヤーにもバンカーにも数百万のベットが乗っている場面で
総付けなど起こそうものなら・・・
首どころでは済まないかもしれない。
100万バランスのテーブルで
プレーヤーに500万、バンカーに600万のベットが乗っていたとして
本来であれば、負けた方のベットは回収できるわけだから
当たりが多いバンカーが出たとしても、店の損害は100万で済む。
でも、総付けになろうものなら・・・
被害額は1100万になる。
謝って済む金額ではない。
だからみんなもちろん集中するし真剣に業務に当たる。
それでも、そういったトランス状態になる瞬間があるからこそ
彼らはその可能性を極力減らすために
寝言でも言うくらいまで身に染み付いた条件をいちいち言うのだ。
もちろん天鳳はただのゲームだ。
一円も賭けられていないし、誰にも文句も言われない。
どんな姿勢でゲームをやろうと、それはその人の自由だ。
でも。
もし、その人がお金と同等か
それ以上のものが賭けられているつもりで打つなら。
独り言程度でも、実況配信しているようなつもりで
口頭確認してみればいいかもしれない。
「あれ、下家がチーして無筋を切ってきたな」
「お、カンドラは7mか」
「ああ、これは4sを引けば8sを切って三色になるな」
効果があるかどうかは知らんけどね。
フリー雀荘でやったら絶対怒られるし><
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