2009・Jリーグdiv.1第八節・柏レイソルvs大分トリニータ
昔、僕がまだ子供の頃、
生まれて初めて生で見たプロスポーツは野球だった。
(というか、プロのサッカーリーグは存在しなかった)
父親が会社から貰ってきてくれたチケットは
後楽園球場の1塁側のベンチの真上で
ネット越しとは言えほんの数m向こうにいるプロの選手たちの存在感に
僕は文字通り圧倒された。
体の大きさ、胸板の厚さ、足の速さ
スイングのスピード、投げるボールの威力・・
どれをとっても異次元の存在だった。
プロってすごいんだ。
理屈抜きにそう感じた。
実はこの大分戦、9歳になる少年を日立台に招いた。
聞けばプロのスポーツを見るのは初めてだという。
彼にとって、生まれて初めてのプロスポーツ観戦が
日立台という臨場感に溢れたスタジアムであることは
きっと思い出深いものになるんじゃないかと願いつつ
僕はピッチに一番近い席を買い求めた。
さらに、レプリカも撒き餌としてこちらで用意した(笑)。
もちろん、ホームチームが負けたスタジアムなんて
楽しい雰囲気は全くなくなってしまうから
勝ってくれないと何にもならないわけだけれど。
ところが試合は苦戦する。
ボールが収まらない上に、シュートで終われない。
李は右でシュートを打つ気は無いのだろうか。
右のSBに入った小林も攻め上がりはともかくとして
最後のクロスの精度の低さは目を覆うばかりだ。
ポポのFK以外には得点の雰囲気は微塵も感じられないまま
逆にセットプレーから大分に先制を許す。
マークが誰だったか、ということはこの際置いておくにしても
(多分近藤だったと思う)
現在のチーム状況と大分の守備の堅さからすれば、実に重たい1点だ。
そして後半開始の時点で、ポポと杉山がいきなり替わる。
戦術的交代ということはまず考えられない選手だから
おそらくは負傷だと思うのだけれど、効果が無かったわけではなかった。
引いて守る大分の守備を大津の突破が崩しかけ
それがケアするために大分は人数を割いて大津を潰しに行くことで
逆サイドや中盤でフリーの選手が生まれる。
杉山に代わって入った藏川も非常に良く動いていて
SHとしての適性を窺わせてはいたけれど
それが結実したのは、北島が入った後のことだった。
それまで焦るばかりだった攻撃陣に、
一気にリズムが生まれる。
高橋監督は交代のカードの切り方は本当に上手いと言っていい。
右のSHに入っていたはずの藏川が何故か左サイドまで流れていて
中央にセンタリングを上げ、それを北島が流し込む。
北島の良い点が見事に出た得点だった。
得点後にありがちなパフォーマンスをすることもなく
駆け足で自陣に戻る北島。
ファウルで倒れた菅沼を抱え起こして
プレーを止めずに続行させるように促したシーンも含めて
絶対にもう1点獲る、という意思が見えた。
そして生まれた決勝点。決めたのは大津。
そこからの数分間は本当に長かったし、
菅野のファインセーブに救われたシーンでは心臓が止まるかと思った。
ようやく、本当に待ち望んだ初勝利。
交代でベンチにいた石川が走ってきて大津に抱きつく。
北島と大津は手を思い切り伸ばしてハイタッチを交わす。
菅野はグローブをスタンドに投げ入れて喜びを表す。
選手も、サポーターも満面の笑みだ。
内容は決して誉められたものではない。
停滞した攻撃、相次ぐ故障者、苦しい状況は続く。
けれど、勝ったという事実に勝るものは無いのも事実だ。
例えば内容は良かったけれど引き分けた前節の清水戦と
内容は今ひとつだったけれど勝った今節の大分戦では
誰だって今節の試合を評価するだろう。
それがプロスポーツの宿命だ。
帰り道、少年にこの日の感想を訊く。
「明日このユニフォーム着て学校に行く!」
「もっといっぱいボール蹴りたかった!」
良かった。そう来なくっちゃ。






































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